2009年02月02日

加藤たかひろデビュー戦の感想。

加藤たかひろデビュー戦の感想。

2月1日、静岡プロレスVol.9で高校生レスラー・加藤たかひろ選手がデビューしました。
それもメインイベント。対戦相手は巨漢・星野勘九郎選手。
実際、大丈夫なんだろうかという、不安・危惧・疑念がありました。
加藤くんの安全、会場の盛り上がり、静プロ最終大会のメインイベントとしての役割。
心配でした。

~試合の様子~

巨体を揺らしてリングインし、若干17歳の新人レスラーを待ち構える星野。
「加藤たかひろ」の名がコールされ長渕剛の曲が流れる。
入場扉が開き、加藤が姿を見せる。観客のリアクションを待たずに
「ぅおっしゃぁ!」と叫ぶ。その叫びに会場が呼応する。
新人らしく一礼し、リングまで走り、リングインして四方に礼…などということはしない。
ふてぶてしく、寧ろゆっくりとリングに向う。
試合に先駆け、リング上で花束贈呈。
花束を受け取ってもセコセコ頭を下げたりせず、寧ろ偉そうにセコンドに渡す。

気に入った。
新人という看板、高校生レスラーデビューというパッケージに甘えない姿がいい。

青と白の紙テープが舞い、試合開始。
ゴングと同時に星野を襲撃。
一気に打撃で押し込む。会場も歓声、拍手で後押しする。
チョップの連打。エルボーの連打。いずれも星野には効かない。
逆に捕まり無造作に転がされる。

それでも尚立ち上がり、打撃。
が、転がされる。
それを幾度も繰り返す。

星野の片エビ固めから逃れ、バックブリーカーで背骨をやられる。
星野の横っ面を平手で張る。
「もっと張ってこい!」と怒鳴る星野に後退さる瞬間もあったが、
気持ちを途切れさせることなく前に前に、出る。

その気持ちを受けた星野が
「それならどこいっても大丈夫だなっ」と叫び、
加藤に片エビ固め。
ついに加藤がタップし、試合が終わった。


今大会、一番燃えました。
加藤くんの攻め続ける姿、気持ちごとぶつかる姿に会場も熱狂しました。
もちろん、未熟さはありました。私ごときが言うのは失礼なのですが、
やはりプロレスファンとして、色々と思う部分はあります。
それでも、そんなこと気にならないほど、贔屓目なく、よい試合でした。

受ける。耐える。返す。プロレスの面白さ・見所の根本といっていい要素がありました。
大技もなく派手さもありませんでしたが、荒々しく清清しい、気持ちのいい試合でした。
セミの試合が派手なパフォーマンスで会場を大きく盛り上げた後、
そういう質実剛健な試合で会場を十分過ぎるほど沸かせたのは、
単純に「高校生レスラーデビュー」であったり「新人がんばれ」という空気があったためだけではなく、
プロレスの面白さの根本がそこにあったからだと、私は思います。

星野さん。
大ファンになりました。出刃包丁の時もお気にいってはいたのですが、
今回のこの試合、星野さんなしではここまでのものになっていなかったかもしれません。
ちゃかすことなく、一言一言叱咤激励しながら真っ向から叩き潰す姿。
加藤くんの一撃一撃を微動せずに受ける姿。
最後の一言に、懐の深さも感じました。
泣けました。
もっと静プロで、星野さんの試合を観たかったです…。

カード組みの妙、加藤くんと星野さんの組み合わせ…
神懸っていた、というと言い過ぎでしょうか。

地方インディプロレス団体でありながら、
「イベントプロレス」ではなく「プロレス」であろうとし続けた静プロ。
それがいなぎ代表のいう解散理由、
「一般家族層ではなくプロレスファンばかりが来るようになってしまい
このまま続けても当初の目的を達成できないと思った」
に繋がってしまったのかもしれません。
それでも「プロレス」であることから逃げなかった静プロが好きでした。
プロレスの本質を軸にしたこの加藤たかひろデビュー戦は、
きっと静プロのシメに最もふさわしい試合だったのだろうと確信します。

今後、加藤くんがどういう形でどこのリングに上がるかは分かりませんが、
私はレスラー・加藤たかひろを応援し続けたいと思います。

~静岡プロレスさんより~
『今回で【静岡プロレス】は解散です。
 一部選手により、 プロレスリングシズオカ、
 スタンガンプロレスの旗揚げをほのめかすような発言がありましたが
 【静岡プロレス】とは一切関係ありません』


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